カメレオンUSBで始めるUSB入門
〜ロジアナキットをつくろう〜
はじめに
マイコン開発ではデバッグやコントロールの為にシリアルポートやパラレルポートを用いることが多いのですが、ノート型のPCからはこれらレガシーインターフェースがどんどん姿を消しています。PCの技術動向からすると仕方ないことなので、これからマイコン開発で用いるインターフェースはUSBに移行していくことでしょう。これから電子工作でマイコンを使う時は、USBを利用する技能が必要になりそうです。
今回はオプティマイズさんのカメレオンUSBを製作してUSBを学習します。
カメレオンUSBはUSBコントローラとしては有名なCypressのEZ-USB(AN2135SC)とXilinxのCPLD(XC95144XL-10TQ144)を用いたUSBインターフェースのキットです。オプションとしてロジアナキットがあり、セットで買っても1万円以下です。最近格安になったPLDを使った市販品のロジアナと比べてもかなり格安といえます。ロジアナはマイコン開発のデバッグ作業の必需品なのでこれからマイコン開発を始めるのに大変良いキットだと思います。PCロジアナでも5万円以上はするので、価格の面でもオススメです。
ただし、自分でQFPのハンダ付けができればですけど。
#できない人は製作代行もしてくれるそうです。
↓オプティマイズさんのサイト
http://optimize.ath.cx/
コンテンツのあやしいパーツショップで通販しています。
カメレオンUSB+ロジアナキットの製作
オプティマイズさんのサイトで紹介されている通りに作業すれば問題なく動作しました、そちらを参照ください。
以下のようなフローです。
@EZ-USB用の開発キットをインストールして、ロジアナ用のCPLD回路データとアプリケーションをダウンロードします。
AEZ-USBをハンダ付けする。
1番ピンの位置に注意。
B抵抗、オシレータ、コンデンサ、レギュレータ、USBコネクタをハンダ付けする。
CEZ-USBのソフトとドライバをインストールして、USBに接続してEZ-USB Control Panelを起動。
このような表示が出ればEZ-USBが動いています。
DCPLDをハンダ付け。
これも1番ピンの位置に注意。
ECPLDにロジアナ用の回路を書き込みます。
DOSプロンプト上で↓のコマンドを実行
>cusbwr.exe logiana.jed
Chameleon USB CPLD Writer(Ver1.01) by OPTIMIZE. |
このような表示が出ればOK
F ABと同じようにロジアナキットをハンダ付けする。
ハンダごてはハンダがしっかり溶けるまで当てましょう(笑)。
G合体して終わり、コレで完成。
楽しい楽しいハンダ付け。
QFPのハンダ付けが多少厄介ですが、無洗浄タイプのフラックスをたっぷり使い、ランドに付いているハンダを溶かすように暖めると結構簡単につきます。以前製作したMP3プレイヤーではQFPのハンダがよくブリッジして製作にかなり苦労しましたが、今回はあっさりと終わり、フラックスの威力を思い知りました。
それでもアクシデントは尽きないもので、今回もCPLDの書き込み迄はすんなりいったのですが、ロジアナがなかなか動作ませんでした。
回路図やRTLを見てイロイロ調べてもわからなかったのですが、原因はOSCのハンダ付けでした(涙)、簡単なところでも気を抜くなという良い教訓です。
さらに動作はするのですが、出力波形がありもしない動きをしていたので、何度もハンダを当て直しました。よく考えると、入力ピンをプルアップかプルダウンしていないと安定しないのは当たり前です。
なんだかんだで、基板は最後にはフラックスでベトベトに…まぁ使えるようになったから良かったのですが。
ハンダブリッジは下のように光に透かしたり、ルーペで拡大する等の方法で確認します。
↓蛍光灯にかざしています。
↓ルーペで拡大。
接続はテスターで調べたのですが浮いているピンがプローブが触れた力で接触することがあるののであまり当てになりませんでした。
簡単で確実な方法は無いかなぁ、JTAG?まだてが出せないなぁ。
とりあえず完成。
プローブは自分の使いやすいように自作します。
ロジアナを使ってみよう。
↓とりあえずオプティマイズさんのサイトで紹介しているロジアナのテストを行ってみる。
つないだところはきちんと動作しているようなのでOKです。
試しにRGB液晶モニタの実験で作ったカラーパターンジェネレータの波形をとってみる。
↓測定風景。
↓このときの波形(カラーパターンの場所)
うん、OKっぽそうですね。
↓ちなみに以前ロジアナ98でとった波形
サンプリングレートの関係でほんの少しずれていますが、同じ動作ですね。
とりあえずロジアナとしては使えることが確認できました。
カメレオンUSB+ロジアナキットはロジアナ98よりメモリが大きいので機能的には有利です。
またCPLDやソフトを自作すれば機能はいくらでも拡張できます。
まさに自作派のためのロジアナといえるでしょう。
趣味の電子工作とはいえ、マイコンソフト開発には実行時の動作確認の為にロジアナは必須です。
カメレオンUSBは安価にロジアナが作成できるのでチャレンジしてはいかがでしょうか。
CPLDの回路設計の勉強にもなるし(笑)。
とりあえず教材ができたのでUSBの学習は次回。
…USBに入門するんじゅなかったの?
今回学んだこと
・表面実装のハンダ付けは侮れない。
…まさかQFPよりOSCのところが問題だったとは…。
・いじけてゲームばかりしてたら作業は進まない。
動かないくらいでいじけるなよ…。